


伝統の灯を絶やさぬために
職人の道を歩む
製造者の藤森さんが、師匠の葛湯を最初に口にしたのは、まだ幼い頃だった。とろりとした優しい舌触り、口に広がる甘み。幼少期に味わったその感動は、いつしか記憶の奥に刻まれ、人生の大きな決断へとつながっていくことになる。
時が経ち、大人になったある日、衝撃の知らせが届いた。師匠が葛湯作りから引退するというのだ。店を畳めば、あの味はもう二度と味わえなくなる。自分が親しんだあの葛湯が、ただの思い出として消えてしまう。何より、長年親しまれてきたこの味を待ち望む人々の期待を裏切ることになる。そんな未来が、どうしても受け入れられなかった。
藤森さんは、師匠のもとへ足を運び、弟子入りを志願。しかし、それは生半可な決意では許されるものではなかった。「3日で覚えろ。」——厳しい言葉が突きつけられた。職人の世界は甘くない。長年の経験と感覚の積み重ねがなければ、決して同じ味にはならないのだ。だが、諦めるわけにはいかなかった。
職人の世界は、感覚の世界。時間をかければ良いというものではない。師匠から突きつけられたのは、“感覚を研ぎ澄まし、素材と対話できるか”という問いかけだった。
自然と対話し、五感で仕上げる葛湯
自然の息吹と職人の手仕事
「朝露葛」の製造は、ただの食品づくりではない。それは、日本の自然と深くつながる、ひとつの芸術とも言える作業だ。
藤森さんは毎朝、その日の空気に耳を澄ませ、風の流れを感じ、湿度や気温のわずかな違いさえも見極めながら、葛湯づくりの準備を始める。葛は繊細な食材で、ほんのわずかな環境の変化が仕上がりに影響を与えるため、感覚を研ぎ澄ませることが求められる。
ときには、奈良の深い山々へ足を運び、自然のリズムに身を委ねることもある。「豊かな森の香り、朝露に濡れた木々の静けさ、鳥のさえずり——こうした自然の息吹を全身で感じることで、葛湯づくりに必要な五感が研ぎ澄まされていきます。」と藤森さん。


UNDISCOVERED
GEMS OF JAPAN GRAND PRIX
Chosen as the best of
Japan's finest local production

職人が仕上げる至高の葛湯
選び抜かれた国産の恵み
藤森さんがたどり着いたのは、「素材そのものと向き合う」葛湯づくりだった。技術だけではなく、葛そのものが持つ力を信じ、活かすこと。
だからこそ、「朝露葛」に使う素材は、すべて厳選された国産のものにこだわった。 葛湯の命とも言える葛粉には、奈良・吉野地方で伝統的な製法を守り続ける吉野本葛を使用。
甘みには、北海道産のてんさい糖を選んだ。てんさい糖は、低GI食品として知られ、血糖値の上昇を穏やかにするだけでなく、天然のミネラルを含み、深みのあるやさしい甘さを生み出す。これに加え、和三盆の上品な甘みを少量加えることで、まろやかで繊細な味わいを引き出している。
さらに、葛のなめらかさを支える馬鈴薯澱粉にもこだわった。保存料や添加物は一切使用せず、素材本来の味わいを最大限に引き出すことを大切にしている。
奈良の伝統の味が、世界へ
世界大会でグランプリ受賞
「自然に身をおき、自分の存在を再確認し、自分自身を整える。」その信念を形にし、自然と調和する葛の美しさが詰まった「朝露葛」は、審査員から高い評価を受けた。
2023年度にJAPAN大会〈和素材スイーツ部門〉、さらに2024世界大会〈にっぽんスイーツ部門〉にて、見事グランプリを連続受賞。職人のこだわり抜いた技と、厳選された素材の調和が生み出す味わいが、審査員の心を惹きつけた。
その評価は日本国内にとどまらず、シンガポールのレストランでは、「朝露葛」の抹茶味の葛湯がコース料理の一品として採用。世界の食文化の中で、日本の伝統が新たな形で受け入れられ始めている。
長年受け継がれてきた葛の魅力を現代に伝え、世界へと広げる「朝露葛」をぜひご賞味ください。

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